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「学びの態度」について改める第一歩として、拙いながら体験の「外化」に取り組んでいます。 基本的には講義の内容の説明ではなく、感想と気づきの列挙になりますが、HCD/UXDに関しては出足の遅れた出来の悪い生徒であることを自認しているので、記憶の誤りや誤解があればご指摘ください。

UX KANSAI 第一期を振り返る

何回目の懇親会かは忘れましたが、十三の沖縄料理の立ち飲みで浅野先生に「君は今期が終わったら一度振り返ってブログを書くといいよ」と勧めていただいたので、久しぶりにブログを書きました。
 
運営スタッフとして参加した第一期の活動の中で、自分がどのような経験をしたのか振り返ってみたいと思います。
 

 
【なぜ始めたのか】
  • 博多で開催された第2回のUX Japan Forum 2015の懇親会で、その前日に浅野先生から 「来年は関西でJapan Forumやるから」 と仕切りを任されたリーダーの徳見さんに運営への参加を誘われたのがきっかけです。
  • UX Kobe、UX Shiga の後でもう一回セミナーを受講しても同じ失敗をくりかえすだけで意味がないと思っていたのと、浅野先生のセミナーからはちょっと距離を取って外から見てみたいなあと考えていたので、その場で快諾しました。
  • 今まで「利己的に」仕事一筋でやってきたので、運営を通じてUXにも通じる「利他的な活動」をやってみたかったというのも理由の一つでした。
  • UX Shigaの最終回で浅野先生から「君はUXに向いてないからやめたほうがいい」とまで言われたのに完全に距離を置こうと思わなかったのは、UX Japan Forum 2015の締めにやはり浅野先生が参加者に向けておっしゃった「ここに来ている人は、未来を見つけに来てるんじゃないかな」という言葉が大きかったように思います。
 
【なぜ続けられたのか】
  • 運営でのはじめてのブレストで、付箋とプロッキーを使って意見を分類していく段取りを当たり前のように進める徳見さんをみて、実践する人はこういうことが自然にできるんだなぁ、今まで身近で協働したことのないUXの実践者と一緒に運営を進められるのは学びになるかもなぁと思いはじめて、モチベーションが上がっていったように思います。
  • 多様な業種・職種のメンバーが、利害関係なく自主的に集まって運営できたので、まったくストレスを感じませんでした。各人の事情・思想・スキルを尊重しながらも、個々の活動や経験を持ち寄って互いに助け合える頼もしい方たちばかりだったので、スタッフ間の人間関係がとても円満でやりやすかったからです。
  • 毎回のセミナーの運営とJapan Forum本番が近づくにつれて「受講者の満足(幸福)」について考えることが意識づけられ、やっと「ああ、これって運営を通じて自分もUXを実践しているんだなあ」という意識になりました(遅い)。
  • それでも自分が参加者としてセミナーを受講していたときのような「辛さを感じる頑張り」をまったく感じなかったのは、周りの方が優秀だったからというのが非常に大きいですが、運営という立場は自分が「頑張らなくても学びを続けられる」やり方だったのかな、とも思います。(自分が発達できたかは自信がありませんが)
  • 多様なバックグラウンドの受講者の方が多かったのも、モチベーションが続いた理由です。受講者のみなさんの熱気を感じ、UXという概念が関西でも幅広い分野で求められているというのを目の当たりにしたことで、おおげさですが社会的責任みたいなものを感じたのかもしれません。
 
【なにを感じたのか】
  • 過去に自分も経験しましたが、ワークショップの渦中に入ると「目的」や「何をやっているのか」を見失ってしまうんだなぁと、運営の立場で外から見ると本当に良くわかりました。先生が勧めるワーク中に他のチームを偵察する行為は客観的な視点を呼び戻すきっかけになるのかな、といまさらながら思いました。
  • アウトプットを求められる当事者意識の「主観」と、「事実」というインプットから調査・分析を行うための「客観」を行ったり来たりする視座と精神のバランスの重要性を感じました。
  • 精神といえば、やはり自身が健全な精神でなければUXという「人の幸せを考える」行為はより難しくなります。UX Shigaのころは先の見えない仕事や家庭の事情の悩みが積み重なり、精神状態が不安定だったのも「UXに向いていなかった」理由だと思います。心に余裕がなければ問いを立てる余裕も生まれないことを実感しました。
  • 向き不向きは、やっぱりあります。実践力、求心力、洞察力、好奇心、探求心…。向いている人はやはり自分にはないセンスや地力を持っていることを、実践者の方と交流や運営の活動を進めていくことで実感しました。
  • 自分の中で「UXは"正しいやり方"だから絶対に"正しい"」と思い込んでいました。会社においては「儲かるやり方が"正しい"」ということが真実であると、自身のこれまでの失敗を踏まえてよくわかりました。
  • 運営内でワーク形式の打ち合わせを行った際、UXへの理解があるメンバー同士が経験や知識に基づいた共通言語で話すと、こんなにも発展的な議論ができて、打ち合わせがストレスなく円滑に進められるんだなあと感心しました。「UXの仕事をしたいなら、すでに実践している会社に転職せよ」というのは真実だと思いました。
 
【なにが変わったのか】
  • 相変わらず本業でUXを実践していないので、その面での変化や成長はないですが、運営としてJapan Forumで全国のUXコミュニティの方と交流できたことで、今後コミュニティをどう存続させて、社会から尊敬を集める存在にしていくかということに興味が出てきました。
  • セミナーとUX Japan Forumを通じて、UXとは「会社においては儲かる仕組みを作ること」、「社会においては幸福度を向上させるための仕組みを作ること」であり、同時に「その仕組みが持続可能であること」と理解し、少し視野が広がりUXについての考え方が変わりました。
  • 過去の自分は「UXは自分の仕事を進めるための "正しいやり方"である」という「手順」に固執するあまり、一歩間違えると前にも後ろにも進めなくなっていたんだなと気づきました。今回運営という立場でUXの一連の流れを俯瞰できたのは「構造」を学ぶ大変良い機会になりました。
  • 自分の過去を振り返って「UXを学べば自分が変わる」のではなく、「自分が変わらなければUXを学んでも何も変わらない」んだなと気づきました。
  • 仕事でユーザーのことを考えるときや、他のセミナーやワークショップに参加した時に耳元で浅野先生の声が聞こえるようになりました。(「……なぜ?……なぜ?……なぜ?……なぜ?……なぜ?…… 」)
  • 中津は今まで縁がなかったのですが、通いたくなるお店が多いことを懇親会で学びました。
 
【なにを改善するのか】
  • ワークショップ中に受講者の方にあまり関与しなかったことです。運営であるという立場にとらわれていて(というかワークに参加しない気楽さから安心していて)、特に前半は観察するでもなくアドバイスするでもなくぼんやりしている時間が多かったのはもったいなかったなと反省しています。
  • 参加者の入れ替わりでチームが持続せずワークショップの成果に影響を与えたのは大きな課題です。継続できるチームビルディングができるように、初回のワークショップに先んじて受講者に対する調査・分析が必要だと思いました。
  • イベントにおいては運営側でうまくタイムマネジメントができませんでした。参加者が時間内にどんな行為をして、何を達成したいのかをよく観察していこうと思います。
  • 成果発表後の質疑応答が活発にならず盛り上がらないのは関西人の気質とはいえ、運営としても何とかしたいところです。
 
【これからどうしていくのか】
  • UX Shigaで「無知の知」を自覚し、UX KANSAIで「答えは無い」ことを知りました。UXに向いていなくても「人間とはいかなるものか」を考え、常に「問いを立てる」ことはこれからも続けていきます。
  • 「向いていない人は、その人なりにUXの理解を深めて、向いている人の下でできることをやりましょう」という言葉は完全に腹落ちしました。卑屈にならず自分のできることをやっていこうと思います。
  • そもそもですが、自分が「なぜUXを学びたいのか」を問い直していきたいと思います。また、受講者の方にも同じ問いをもって接していくことで、受講者がUXに何を求めているのか、コミュニティとしてどんな仕組みを作れるのかを考えていきたいと思います。

 


 
なんだかあっという間の第一期でしたが、大きいトラブルもなくイベントやセミナーも成功し、思っていた以上に充実した時間を過ごせたことで、懇親会では毎回美味しくお酒がいただけました。運営に参加してよかったです。
 
浅野先生、受講者のみなさま、運営のメンバーに感謝いたします。本当にありがとうございました。
 
来期もよろしくお願いします。
 
宮島敬右